エピソード8: 職人の街フェズで想う日本の技術力 ~世界一周バックパック旅〜 | 特派員は見た!

モロッコ最古の都市フェズ。一度、旧市街(メディナ)の迷路に入り込めば二度と元の場所には戻れません・・・。(嘘です。来た道を戻れば戻れます。)と、そんな冗談を言いたくなるほど旅人を迷わすその理由は、細く長い道が幾重にも分かれるから、だけではなく、ついつい目移りしてしまう可愛らしいモロッコ雑貨のせいでもあるかもしれません。


そのモロッコ雑貨は職人のハンドメイドのものがほとんどです。「これ、ぼくが作ったんだよ」と、どこまでが本当に自分で作っているのかアヤシイお店もありますが、この職人技の一部をご紹介します。


メディナに足を踏み入れるとまず目にするのが革雑貨。日本でも流行りのバブーシュやバッグ、財布、椅子・・・。幾何学模様が綺麗に描かれていますが、これ、どのようにしてつくられているか想像できますか?金属の型を革に手作業で押し当て、その後に、これまた手作業でその線をインクでなぞっていっているのです。なんて根気のいる作業・・・。


街中の至る所で目にするカラフルなタイルのモザイク。何度見ても「かわいー」「きれー」とテンションが上がってしまいます。これ、どのようにしてつくられているか想像できますか?大きめの色のついたタイルにモザイク模様1つ1つのパーツ型に下書きをして、ハンマーで砕き、色とパーツを間違えないように裏返して模様を並べ、セメントで固めて作るのです。お土産屋さんで値段を見ると、5センチ四方で約3,500円。ホテルやモスクの壁に使われているモザイクタイルを作るのに、一体いくらかかるんだろう、と想像してしまいます・・・。


スーク(市場)をカラフルに彩る、タジン鍋型やお皿といった陶器。日本でも焼き物は昔から各地で造られていますから、その製法は想像できますよね?モロッコでも、日本と同じようにろくろで造られていました。しかし驚くことに、ろくろを回す動力は足です!き、器用・・・。絵付けももちろん手作業。装飾となる金属は、防熱にはジーパンを膝掛にしての半田ごて。たくさんの職人が、根気のいる細かい作業を集中して続けられていました。


しかし、実はよぉーーーーーーーーく目をこらして見てみると、色ムラがあったり、ちょっと欠けているものがあったり。ここで思い出したのが日本の品質・技術力の高さ。日本の職人さん手作りの陶器は、色ムラなんてないですよね?モザイクタイルも、もし日本にこの文化があったら「近くで見たら実は角が欠けている」なんてことなく、ピッチリキッカリ作ったりするのではないかしらん?と思ってしまいました。


ただし、モロッコの素晴らしいところは、職人さんがたくさんいる、ということ。私が見学した施設にも絵付け職人は多数いましたし、街中のお店でもたくさんの職人さんが作業されています。細かいところにはこだわり過ぎず、モロッコ文化をたくさんの人の手で保持し、仕事にしていく点は素敵ですね。


他にも、真鍮職人(ランプ等)、織物職人(モロッコ絨毯!)、刺繍職人(ハンカチ等)、看板職人(大理石に文字を掘っています)、等々、たくさんの職人が自らの手で商品を仕上げています。織物は同じモロッコの中でもアラビア人とベルベル人とで模様が異なり、その違いを楽しむことができます。刺繍はモロッコに限らず、ハンガリーやボリビアなど、様々な国・地域で伝統的な模様があり、これらの違いを見比べてみるのも、世界を旅する面白さ、かもしれませんね。

シブヤ大学 週末アジア旅倶楽部

シブヤ大学は「まちはキャンパス」をコンセプトに、街のいろいろな場所で、あらゆるテーマの授業を行ってきました。2015年1月にスタートしたシブヤ大学の公認サークル「週末アジア旅倶楽部」は、日本を含めた世界の国々を大学のキャンパスに見立てて、旅好きのメンバーが「旅」や「世界各国の文化(アジア以外も!)」をテーマにした様々なイベントを自分達で企画・開催しながら、旅人感覚のライフスタイル楽しんでいます!